定義:保全作業の管理がCMMS、資産のライフサイクル管理がEAM
CMMS(Computerized Maintenance Management System/設備保全管理システム)は、設備台帳を基礎に、点検・定期保全・故障修理の作業指示と履歴、予備品在庫を管理するシステムです。保全部門の日常業務を回すことが主目的です。
EAM(Enterprise Asset Management/企業資産管理)は、その範囲を資産の取得・稼働・更新・廃棄までのライフサイクル全体と、投資計画・コスト管理へ広げた概念で、CMMSを包含する上位語として使われます。実際の製品は両方の名を併記していることが多く、規模の大きい設備集約型産業(プラント・インフラ)ほどEAM色が濃くなります。
誤解されやすい点:MESの保全機能との重なり
MESにも設備管理・保全の機能領域があり(MESAの11機能にも含まれます)、CMMSとの重複がよく問題になります。分担の目安は次のとおりです。
| 仕事 | 主担当 | 補足 |
|---|---|---|
| 設備台帳・保全計画・予備品 | CMMS/EAM | 保全部門の基幹 |
| 保全作業指示と履歴 | CMMS/EAM | 力量・安全手順も含む |
| 稼働実績・停止記録の収集 | MES | 生産の文脈(品目・指図)つき |
| 設備状態による作業ブロック | MES | 未点検・故障中の設備を使わせない |
| 稼働時間起点の保全トリガー | 連携 | MESの実績→CMMSの計画へ |
誤解されやすいのは「CMMSを入れれば設備データが自動で集まる」という期待です。CMMSは保全作業の記録には強い一方、稼働時間や停止理由を設備から自動収集する仕組みは持たないのが普通で、そこはMES(またはIoT基盤)の仕事です。時間基準保全(TBM)から使用実績基準(UBM)・状態基準(CBM)へ進むには、MES側の稼働データをCMMSへ渡す連携が前提になります。
実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと
- 設備マスタの二重管理。MESとCMMSの設備コードが別体系だと、稼働データと保全履歴を突き合わせられません。どちらを親にするかを最初に決めます
- 保全中ステータスの連携。CMMS側で保全中の設備に、MESが作業を割り付けないためのステータス連携があるか
- ERPのPM(プラント保全)モジュールとの関係。ERP側に保全機能がある場合、CMMS新規導入かERP活用かは、予備品在庫と購買との連携で判断が分かれます
よくある質問
OEEの計算はMESとCMMSのどちらでやるべきですか?
OEEの入力となる稼働・停止・出来高・不良はMESが持つデータであり、算出はMES側が自然です。CMMS側では、停止のうち故障によるものを保全履歴と突き合わせて原因分析に使う、という役割分担が実務的です。
