定義:設備がどれだけ価値を生んだかを1つの数字にする
OEE(Overall Equipment Effectiveness/設備総合効率)は、設備が理論上生み出せた価値に対して、実際にどれだけ良品を生産できたかを表す指標で、次の3要素の積として定義されます。
- 時間稼働率:負荷時間のうち、実際に動いていた時間の割合(停止ロス)
- 性能稼働率:動いていた時間で、理論サイクルタイムどおりに生産できた割合(速度ロス)
- 良品率:生産数のうち良品の割合(不良ロス)
TPM(全員参加の生産保全)の体系で生まれた指標で、MESのKPIを定義するISO 22400にも収載されています。3要素に分解できることが本質で、「OEEが低い」ではなく「どのロスで失っているか」を特定するための道具です。
誤解されやすい点:定義がずれた数字は比較できない
最大の落とし穴は、分母(負荷時間)の取り方が現場ごとに違うことです。計画停止(昼休み・計画保全・生産計画なし)を分母から除くかどうかで、同じ設備のOEEが大きく変わります。稼働率の定義を確認せずに「A工場は85%、B工場は60%」と並べるのは、単位の違う数字を比べているのと同じです。
- 「世界水準は85%」の独り歩き。85%という数字は特定の前提での目安にすぎず、多品種少量で段取り替えが多いラインの60%が、量産ラインの85%より劣っているとは限りません。OEEは他社比較ではなく、同一定義での時系列比較に使う指標です
- 100%を目標にしない。段取り替えも計画保全も必要な活動です。OEEの最大化だけを追うと、段取り回数を減らすためにロットを大きくし、在庫を積む逆効果が起きます
- 手動記録のOEEは精度に上限がある。短時間の停止(チョコ停)は人手では拾えず、実測すると手動記録より数十分単位で停止が多いことは珍しくありません
実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと
- 負荷時間の定義書があるか。計画停止・立上げ・試作の扱いを文書で決め、全ラインで統一します。MES導入はこの定義を強制的にそろえる機会です
- 理論サイクルタイムの出どころ。甘い基準値は性能稼働率を100%超にします。品目×設備ごとの基準値マスタの整備が前提です
- 停止理由の入力負荷。停止検知は自動、理由付けは現場という分担が実務的です。理由コードが多すぎると入力が形骸化します
よくある質問
OEEはどの設備でも測るべきですか?
全設備で測る必要はありません。ボトルネック設備と高額設備に絞るのが定石です。ボトルネックでない設備のOEEを上げても工場全体の産出は増えず、測定・入力のコストだけが増えます。
OEEとORE・TEEPは何が違うのですか?
TEEPは分母を暦時間(24時間365日)に取った指標で、設備投資判断に使われます。OEEが「動かすと決めた時間内の効率」、TEEPが「設備という資産の利用度」という関係です。分母が違うだけで3要素の考え方は共通です。
