定義:監視制御とデータ収集のためのレベル2システム
SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)は、設備やプロセスの状態をリアルタイムに監視し、オペレーターの操作を設備側に伝え、データを収集するシステムです。ISA-95の階層ではレベル2(監視・監督制御)に位置し、レベル1のPLCやセンサーからデータを吸い上げ、画面表示・アラーム・トレンド記録を担います。
もともとは電力・上下水道・パイプラインのような地理的に分散した設備の遠隔監視から生まれた語で、工場内では「監視制御システム」とほぼ同義に使われています。
MESとの違い:秒の世界と、指図の世界
SCADAとMESは扱う時間軸と文脈が違います。
| SCADA | MES | |
|---|---|---|
| 階層 | レベル2 | レベル3 |
| 時間軸 | 秒(リアルタイム) | 分〜日 |
| 知っていること | 温度・圧力・稼働状態 | どの指図の、どの工程か |
| 知らないこと | その値が「どのロットのものか」 | ミリ秒単位の設備挙動 |
誤解されやすいのは「SCADAでデータを取っているから、MESのデータ収集は済んでいる」という理解です。SCADAが持つのはタグ(測定点)単位の時系列値であり、「そのときどの製造指図・ロット・作業者だったか」という文脈を持ちません。文脈を付けるのがMESの仕事で、ここを設計しないとSCADAデータは実績としてもトレーサビリティとしても使えません。
また、長期のデータ保存はSCADA本体ではなくヒストリアンが担うことが多く、SCADA・ヒストリアン・MESの三者で保存範囲を切り分けるのが実務上の設計点です。
実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと
- タグ設計の資料はあるか。タグ名の命名規則と一覧が整備されていないと、MES連携の見積りは事実上できません
- MESとの接続方式。OPC UAサーバー機能の有無、対応プロトコル、書き込み(MES→設備方向)の可否
- アラームと実績の線引き。異常の一次対応はSCADA、不良・停止の「記録と分析」はMESという分担が崩れていないか
よくある質問
SCADAとHMIは何が違うのですか?
HMIは1台の設備・装置に付く操作画面を指すことが多く、SCADAは複数設備・ライン全体を束ねて監視する仕組みを指します。SCADAの画面部分をHMIと呼ぶこともあり、境界は曖昧ですが、「単体か、全体か」が実務上の目安です。
