定義:同一条件で作られた(扱われた)モノのまとまり
ロット(Lot)は、同じ条件のもとで製造・処理・入荷された製品や材料のまとまりであり、品質を代表させ、履歴を追跡するための管理単位です。「同じ材料・同じ設備・同じ日」に作られた1,000個を1ロットとすれば、その中の1個の検査結果でロット全体の品質を推定し、問題があればロット全体を隔離する、という運用が成り立ちます。
似た語のバッチ(Batch)は、プロセス産業で「1回の仕込み・反応の単位」を指す語として使われ、GMP文書では「バッチ」が正式用語です。離散系では「ロット」が優勢で、実務上はほぼ同義に扱われますが、バッチが物理的な製造単位を指すのに対し、ロットは管理上の単位(複数バッチを1ロットにまとめる等)を指せる点にずれがあります。
誤解されやすい点:ロットは「自然に決まる」ものではない
ロットは設計するものです。よくある誤解と実際は次のとおりです。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| ロットは製造単位そのもの | 管理のために切る単位。1日分を1ロットにも、1パレットを1ロットにもできる |
| ロット番号は連番でよい | 採番ルールに日付・ライン等を織り込むかは追跡性と読み違いのトレードオフ |
| 大きいロットは効率的 | リコール時の回収範囲・廃棄量もロット単位で膨らむ |
| 入荷ロットは1つ | 同一納品に複数の製造ロットが混在することは普通にある |
とくに重要なのがロットサイズとリスクの関係です。ロットを大きく切るほど管理の手間は減りますが、不具合発生時に隔離・回収する範囲もロット単位で広がります。食品業界で「1日1ロット」から「ライン×時間帯」へ細分化する動きがあるのはこのためです。
また、工程の途中でロットは分割(1ロットを2設備に分ける)・統合(複数ロットをまとめて処理)されます。このとき番号をどう引き継ぐかを決めていないと、ジェネアロジー(親子関係の記録)が切れます。
実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと
- ロットの定義書があるか。品目分類ごとに「何をもって1ロットとするか」「採番ルール」「分割・統合時の扱い」を文書化します。MES導入はこの整備の強制力になります
- 引当のルール。先入れ先出し(FIFO)か、使用期限順(FEFO)か。MESで材料ロットの投入を統制するなら、引当ルールはマスタとして必要です
- 顧客・規制からのロット要件。ラベル表記、成績書の単位、保存期間。出荷先の要求がロット設計の制約条件になります
よくある質問
ロット管理とシリアル管理はどう選べばよいですか?
製品1個ごとの識別が規制・顧客要求にあるか、個体差が品質に効くか(組立製品の重要保安部品など)が判断軸です。要求がなければロット管理が基本で、シリアル管理は記録量と運用負荷が桁で増えることを覚悟して選びます。
