公開された3つの文書
2025年7月7日、欧州委員会はEU GMPガイドラインのAnnex 11(コンピュータ化システム)改訂案、新設のAnnex 22(人工知能)、Chapter 4(文書化)改訂案をパブリックコメント用に公開しました。意見提出期限は2025年10月7日でした。
- Annex 11改訂案:5ページから19ページへ大幅拡充、17章+用語集。従来のバリデーション中心から、セキュリティ、アイデンティティ/アクセス管理、監査証跡を重視する構成へ再編。医薬品品質システム、リスクマネジメント、要員教育、サプライヤ管理、電子署名、アーカイブまで網羅
- Annex 22(AI)新設案:GMP文脈のAIを扱う11章構成。意図された使用(intended use)、受入基準、テストデータの独立性、説明可能性(explainability)、信頼度(confidence levels)、運用要件を要求
- Chapter 4改訂案:9ページから17ページへ。データインテグリティ原則、ハイブリッドシステム要件を組み込み
背景──業界ガイダンスも並走している
ISPEは2022年のGAMP 5第2版(Appendix D11でAI/MLを初めて扱った)に続き、2025年7月に290ページの「ISPE GAMP Guide: Artificial Intelligence」を発行しました。データガバナンス、モデルライフサイクル管理、ドリフト監視、AI固有リスク統制を扱い、Annex 22案が要求する「継続的モニタリングとサプライヤ監督」をライフサイクル枠組みとして実装可能にする関係にあります。規制と業界ガイダンスが同じ方向に足並みを揃えている点が重要です。
MESユーザー・検討中の企業への影響
GMP対応MESにとって、Annex 11改訂案の意味は「バリデーション文書が厚ければ通る時代の終わり」です。セキュリティ設計、アクセス管理、監査証跡の粒度が正面から問われるため、これから選定する企業は、この3点を製品標準機能でどこまで満たせるかをRFPに織り込む必要があります。
AI外観検査や予測品質などをMESに組み込む計画がある場合、Annex 22案の説明可能性・テストデータ独立性・信頼度の要求は設計段階から効きます。「精度が高いから採用」では通らなくなります。
AI要求の詳細はEU GMP Annex 22──MESに載るAIに何が要求されるかの記事を、FDA側との対比はFDAは緩め、EUは締めるの記事を、GAMPとの関係はGAMP 5第2版とISPE AI Guideの記事を参照してください。
